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ひろしま食物語 ひろしま食物語

喜ばれる蓮根を届け、自分らしく

2020年1月執筆記事

三原市大和町
金原農園

金原 貴生

 金原さんが就農して今年で7年目。もともと父親が米を育てていた田んぼを活用して蓮根栽培を始めた。就農前は広島市内の企業で広告関係の仕事に携わっていたが「(実家に戻ってきたのは)疲れたからですかね(笑)。ゆくゆくは戻って農業を継ぐつもりでしたから、それが早いか遅いかだけですが」。
 帰郷したものの、広島市内ほど再就職の選択肢は多くない中で、さて何をして働こうかと考えた時、ちょうど農業で起業するのがブームになっていた時期でもあったことから「本などで調べて、自分にもできるかなと最初は軽い気持ちで始めました(笑)」。
 三原市の新規就農者向けの研修制度を利用して約1年いくつかの農家を回り、その過程で大和白竜蓮根を知って「栽培方法や収量などを考慮して決めました。夏は野菜、冬は蓮根を作れば1年の見通しも立つと思って」。

 なんとなく始めた蓮根栽培だったが、今ではおよそ7割が直売で売れてしまうほどの人気。蓮根を育てている田んぼは車通りの多い県道に面しているので、通りすがりに蓮根を求めて立ち寄る人も徐々に増えてきたことから、看板を立てて直売するように。認知度も上がってお客さまが増えるのに合わせて、栽培面積を増やしていった。
 「この辺りは標高400メートルくらいあるので昼夜の寒暖差が大きく、きれいな水も豊富。水と土と寒暖差と、蓮根にとって理想的な条件がそろっています。肥料を変えたり作り方を工夫してみたり、年々おいしくなっているのではないかなと思っています。そういって喜んでくださるお客さまもいらっしゃいますから」手探りで理想の蓮根を追究している段階だというが、一人黙々と蓮根に向き合う金原さんにとって、お客さまから直接届く声は大きな励みになる。

 「太さや部位で味や食感が違うから、ピクルス、サラダ、チップスなど調理法によって使い分けるといいですよ」金原さん自身、毎日のように料理するそうで、外食時に店のメニューを参考にするなど蓮根のおいしい食べ方の研究にも余念がない。でも「揚げ焼きのようにして塩でいただくのが一番」素材に自信があるからこそ、究極にシンプルにいただくのが一番なのだ。
 金原さんが作る大和白龍蓮根は、直売以外に近隣の道の駅や三原市内などのスーパーに並ぶほか広島市内の飲食店やパン屋さんなどにも出荷しているという。一人で運営していることもあり、今のところは直売所を拡大したり商品を増やしたりする予定はないが「もっと入りやすい店構えにした方がいいのかなとか、年中何かしらの形で蓮根を楽しんでいただける加工品などがあってもいいのかなとか、漠然と考えていることはあります」とのこと。
 でも「直売所はシーズン中だけオープンするくらいがちょうどいいのかなと思います。年中開けると遊びに行けなくなりますし(笑)。会社勤めの時に比べて家族の時間も作りやすいですし、蓮根のサイクルが自分には合っていますね」。自分らしいライフスタイルを大切にしながらも、大和白竜蓮根を求めるファンの期待にもきっちり応えられるよう年々進化する金原さん。これからも毎年「金原農園レンコン直売所」の看板が立つシーズンが楽しみだ。

金原農園レンコン直売所

三原市大和町大草4305-2
シーズン中(10月~3月)のみ販売

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掲載記事内容は取材当時のものであり、
現在の内容を保証するものではありません。